「白糸ノ瀧」には何度も来ているのに
いままでその存在を知らなかった。
「おびん水」
瀧の上にさらに
滝つぼというか
湧き水があるのだ。
音止の滝と白糸の滝は
ともに芝川の上流にあたり
ここで流れはふたつに別れ
また合流して芝川となり
やがては富士川となり、駿河湾へと注ぐ。
遥かなる水の旅のはじまりは富士山の山頂に降った一片の雪なのかもしれず
それがいつのころの雪なのか
一説によれば80年ほど富士の下の水瓶となり貯蔵されているともいわれる。
その水瓶に新たな雪解け水が加わると
プールされていた水は押し出され
海へと向う最初の一滴となるのかもしれない。
この「おびん水」の底から湧き出す水は
いったいどのくらいの間
富士の底にあったのだろう。

古えの人びとは
水には龍が住むと考え
ここに三体の龍神を祀った。
「由緒
この神泉は、帯の真名井といい
千古穢れをしらぬ富士の真清水である。
木之花竜神
真之御柱竜神
磐長竜神」
との
看板あり。
いつのことかも知れず。


「木之花竜神」

左に二つある左側が
「磐長竜神」
真ん中にある「真之御柱」とは
なにものなのだろう。
湧き水の中に、玉子や果物などが沈めてあること
そしてお賽銭などが投げ入れてあることが気になった。
清い水ならその人の行為は
どのようなものなのだろう。

この場所から白糸の滝が見降ろせる。
漠々とした水のその音を聞きながら
富士と海のあわいの
この湧き水が常盤に清からんことを願った。