昔々
母に仙台の里帰りに連れて行ってもらったとき
高瀬川で川遊びをしているわたし達姉妹のモノクロームの写真がある。
とっくに大きくなってしまったあと
写真の整理をしていると
わたしたち姉妹の足元に
ひとつづつ
まるで白いボアのスリッパみたいに
川の中にふたつの存在が写っていた。
ねえ
なあにこれ?と母に聞いたところ
「ああ、あなたたちが気持悪がると思って捨てたと思ってたんだけど
なんだか川で亡くなった人のお化けだったら気持悪いわね。」
でも、
わたしにはとってもユーモラスで可愛い存在に思えた。
白いボアのスリッパには
おそろいの目と口があったのだから。
その前に姉が見た夢の話をしてくれた。
「シンガポールのマーライオンが
ペルなのよ、(ペルは当時飼っていた白い猫の名)
それで海をぴょんぴょん跳んでいるの。」
わたしはその後やはりおかしな夢を見た。
古びた武家屋敷のような土塀の脇の道を歩いている。
いつの時代のものなのだろうか。
するといきなり
土塀の中から
「マーライオン」みたいな小さな白いものが飛び出してきて
「わたしは○○川のものである(○○川はわたしたちの苗字)」
みたいなことを言ったのだ。
子供のころ仙台の高瀬川で撮れた
わたしたち姉妹の足元の白いスリッパみたいなものと
マーライオンはわたしには同じものに思えてしまう。
すべては真実にはたどりつかないかもしれないし
それもまた、楽しいのだ。
夜も更けてきた。
話しの流れは
いったい前世に
どこで出会ったんだろうね、
というとんでもないことになってきた。
「絶対にわたしは好戦的な戦国武将だったと思うのよ。」
そんなことを断言する女性はあまりいない。
でも、わかるよ。
鎧兜が似合いそうだもの。
自分でいうのもなんだけど
夕陽をぼうっと眺めるのが好きで
おそらく水牛か象の背中に乗っていたに違いないわたしが
どこでこの戦国武将にあったのだろう?
おそらくあまり日本には縁が無かったわたしが
何故ここで姉妹なのだろう、という話になった。
{あ!ハワイじゃない?
初めてハワイに行ったとき、
わたしここに住んでたって思ったのよ~。」
わたしは
「ううん・・・わたしはそれは感じなかったなあ」
ハワイには社員旅行で三回行ったけど
日本人だらけで退屈に思えた。
そのころはメキシコやペルーにはまっていたので
母と姉がなんでハワイにそんなに行きたがるのだろうと思っていた。
結局姉はハワイ在住の日本人男性と付き合って
二児の母親になった。
だから姉のハワイの前世は当たっているのだろうな。
「でもね、今一番行きたいと思うのはスペインかなあ」
というので
それならスペインで会っていたかもねえ、というわたし。
でも決定的でもないのだ。
(だいたいこのような話に決定的も何もあったもんじゃないけれど)
そうしたら
いきなり姉が
「あ、シシリー!」
わたしがほぼ同時に「シチリア!」
シシリーは英語かフランス語で
シチリアはイタリー語だ。
そうだそうだ!
「オリーブ畑!」
それだ、それだ!
「ボナセーラ、ボナセーラって
いつも言ってたじゃない?」
わたしたちは別々にあるとき「ゴットファーザー」にはまり
姉はアル・パチーノ
わたしはロバート・デ・ニーロに心酔したのだった。
姉はこの何作にもなる映画のセリフを全て覚えてしまうくらいはまっていた。
それだ
それだ
それだ!
「なああんだ」
過去世を思い出すことは楽しい。
かといって
過去も未来もそして「いま」も
同時に存在するこの世界の中で
過去も今この瞬間に選ぶことができるのだと私は感じている。
大きな宇宙の片隅で
麗しい地球の、美しい日本という国で
名もない姉妹がファンタスティックな過去をこの瞬間に共有して楽しみあう。
夜はどんどん更けていき
笑い転げているうちに
ご先祖様やら、たくさんの龍さんたちや精霊さんたちも
愉快に過ごしてくださったのではないかしら。
姉の不思議な話ももし続きがでたら
またお届けしますね。
すでにわたしの前回の記事「トンネルの~」を読んでくださったK子ちゃんが
今日、そのトンネルに行った見たい。
その報告も
楽しみ、楽しみ。
で
結局
「続きます」