朝から樹海です。
昨日も、今日も
標高900m以上あるのに
蒸し暑く
気温はグングン上昇中。
だけど、都会から来たお客さまは
『気持ちいいわ〜!』
と
ご満悦。
そりゃあ、都会から来れば
夢のような環境なのでしょうね。
ミソサザイが高らかに囀っています。
おかしいなあ…
先週は、キビタキの天下であったのです。
あちらからも
こちらからも
樹海では、キビタキの囀りが木霊していました。
今年はキビタキが多いなあ…
連日、ツアーでは
キビタキの話ばかりしていました。
ところが、今日は
ミソサザイが
高らかに、高い木の上で囀っている。
これは、どういうわけか。
ミソサザイは、森の春を告げる鳥。
三月から四月にかけて
森の主人公のように囀るのです。
二回目のツアーの事です。
(10:51〜1時間)
朝と同じように
ミソサザイが囀っている。
で、わたしは
ミソサザイの話を始めました。
野鳥の面白いところは
種類によって、まったく、生態なとが異なること。
そのほとんどが、
メスがオスを選ぶのだけど
キビタキは、容姿が決め手となり、
ミソサザイは、不動産がものを言う、
と
それぞれ異なり
なんだか人間くさいところが面白いのですね。
(というか、私たちが、鳥っぽい?)
そんな話をわたしがしていると、
参加者の男性の方が
奥に向かって写真を撮り始めました。
あれ!あれ!
と
指差す方を見ると
ワラワラと、小さな野鳥が
苔むした溶岩の隙間から出てきます。
なんだか賑やかに鳴いていました。
うわっ!
巣立ちだ!
あっちゃこっちゃに鳴き合いながら
ミソサザイの幼鳥が飛び交います。
まだ、人間を恐れない!
そして
お父さんだと思われるミソサザイが
さらに高らかに、鳴く!
どこに写っているのか、まったくわかりません。
スマホじゃ、無理!無理‼
で
ほかにも、
またまた
画像をネットからお借りします。
かわゆい。
でも、今日のコたちは、
尾っぽがちゃんと立っていました。
実は、尾羽は最後に成長するので
尾羽の大きさで
幼鳥の成長がわかるのだとか。
またまた、
ミソサザイが高らかに上から鳴く。
子供たちの巣立ちを
祝福するように。
だけど、
あちらからも
こちらからも
ミソサザイの囀りか木霊します。
これはどういうことなのだろう…
もしかしたら
あちらでも
こちらでも
巣立ちが行われているのかしら?
それで、少し考えてみました。
巣立ちに相応しい
巣立ち日和みたいのものがあるのでは?
ミソサザイが主食にしているものは
虫です。
しかも、飛び虫や、蜘蛛など。
卵を産んでから二週間
メスは抱卵し、
雛にかえってからも
約、二週間
育雛はメスが行います。
つまり、毎日、毎日
4羽から6羽いるという雛の全てに
虫をたくさん捕まえては雛に与えるのです。
この二週間
メスはどれだけ忙しかったことでしょう、
そしてついに
巣立ちを促す日がやってくる。
昨日から、高気圧に覆われた日本列島は
各地で夏日を迎えて
樹海もかなり蒸し暑ったのです。
おそらく
虫もたくさん成虫になったのだろうな。
そう、
野鳥が糧とする虫は
シジュウカラなどが虫の幼虫を雛に与えるのに対して
ミソサザイは、成虫を与えるのです。
その違いが、
もしかしたら
巣立ちの時期を分けるのかもしれません。
可愛い子の旅立ちの日は、
成虫が森に溢れて
食べ物を自分で捕まえるのに
困らない日を選ぶのでは⁉
そして
今までまったく抱卵も育雛もしなかった
ただ、囀っていただけのお父さん鳥も
この日ばかりは高らかに囀る⁈
わが子の旅立ちを
祝福するように⁉
そうとしか思えなかった
今日の樹海の賑やかさでした。
ミソサザイに興味がわいて
調べてみたら
世界中にミソサザイの仲間はいて
西洋も東洋も
『ミソサザイは鳥の王』とする
寓話があることに驚きました。
『日本では古くから知られている鳥で、古事記・日本書紀にも登場する[注釈 4]。なお、古くは「ササキ」であったが時代が下り「サザキ」または「ササギ」「ミソササギ」等と言った。冬の季語とされている(季語一覧#冬の季語)。江戸時代の俳人小林一茶が「みそさざい ちっというても 日の暮るる」の句を詠んでいる。1710年(宝永7年)に、蘇生堂主人による鳥の飼育書の『喚子鳥』で描写されている[17]。
西欧各国の民間伝承においてはしばしば「鳥の王」とされ、各国語における呼称も君主や王の意を含んだ単語が用いられる。グリム童話の『みそさざいと熊』で「鳥の王さま」と呼ばれていた[18]。また、ヨーロッパコマドリと対になって現れることも多い。かつては、ヨーロッパコマドリがオス、ミソサザイがメスだと考えられており、「神の雄鳥」「神の雌鳥」として伝承中では夫婦とされていた。また、イギリスではヨーロッパコマドリが新年の魂を、ミソサザイが旧年の魂を宿しているとして、クリスマスや翌12月26日の聖ステファノの日に「ミソサザイ狩り」が行われていた[19]。
森の王に立候補したミソサザイが、森の王者イノシシの耳の中に飛び込んで、見事にイノシシを倒したものの、だれも小さなミソサザイを森の王とは認めなかったという寓話が有名である。
また、ミソサザイはアイヌの伝承の中にも登場する。人間を食い殺すクマを退治するために、ツルやワシも尻込みする中でミソサザイが先陣を切ってクマの耳に飛び込んで攻撃をし、その姿に励まされた他の鳥たちも後に続く。最終的にはサマイクル神も参戦して荒クマを倒すという内容のもので、この伝承の中では小さいけれども立派な働きをしたと、サマイクルによってミソサザイが讃えられている[20]。『ワシとミソサザイ』の童話の題材とされている』
ほかにも、
なんと、仁徳天皇の諡であった話か出てきました!
こちらも面白い。
『こんな小さな鳥なのに、あの仁政と日本最大の古墳の主で有名な仁徳天皇の名に使われている。仁徳天皇とは死んでからの諡(おくり名)で、古事記には大雀命(おおさざきのみこと)という名で出てくる。日本書紀は大鷦鷯尊という表記だ。鷦鷯というのは、中国の表記で、和名類従抄によると、「鷦鷯」の項に「和名佐々岐」とあるので、日本では、昔は「さざき」と呼ばれていたようだ。それが「さざい」に変わったのかもしれない。「鷦鷯」の「鷦」は、焦げ茶色の鳥、「鷯」は、澄み通ってよく響く声で鳴く鳥という意味だろう。中国の名は実体に相応しい名前がつけてある。』
自然のフォトエッセイ『ミソサザイ』
『こんな小さな鳥なのに、あの仁政と日本最大の古墳の主で有名な仁徳天皇の名に使われている。仁徳天皇とは死んでからの諡(おくり名)で、古事記には大雀命(おおさざきのみこと)という名で出てくる。日本書紀は大鷦鷯尊という表記だ。鷦鷯というのは、中国の表記で、和名類従抄によると、「鷦鷯」の項に「和名佐々岐」とあるので、日本では、昔は「さざき」と呼ばれていたようだ。それが「さざい」に変わったのかもしれない。「鷦鷯」の「鷦」は、焦げ茶色の鳥、「鷯」は、澄み通ってよく響く声で鳴く鳥という意味だろう。中国の名は実体に相応しい名前がつけてある。』
天皇の御陵を
『みささぎ』というけれど
ミソサザイから来ている説もあり
あんな小さな地味な鳥が
なぜに、鳥の王の寓話かあったり
仁徳天皇の諡にされたりするのかしら。
小さな体に
生きる知恵がたくさん詰まって
やはり
ミソサザイは
鳥の王に相応しいのかも知れません。
鳥の巣立ち日和の日
そんなことを思います。