富士山中の最古のオヤシロ
まさに、その前に三人で立ち
なにができるというわけではないが
そうして
何をしに来た訳ではないのですが
ただ
十勝石を鳴らして
奉納しようかしら?
漠然と考えていたに過ぎない。
さて
クリスタルチューナーを鳴らそうかな?
そう思った矢先…
chiaさんが目ざとく
こんなことを言いました。
『あれ?
ディジュリドゥを持っている人かいますよ?』
富士山の登山道に、ディジュリドゥ???
(アボリジニーの楽器)
そんな、アヤシイやつ
いるわけないじゃん。
気を取り直して
また、祠の方を向くと…
来タ〜〜〜〜!
ディジュリドゥを持った
二人の男性が、やはり立ち入り禁止区域に入ってきた!
アヤシイ!
いやいや?
どっちがアヤシイのか?
わたしたち?
あのオトコたち?
わたしたちは
いいのよ〜。
立ち入り禁止区域に入ったって。
ちゃんと
入らせていただきます、と
ご挨拶したのだから。
少し躊躇しているお二人に
(そりゃそうだ、わたしたちの方がアヤシイもの。)
ルカちゃん、声をかけた。
ものすごく躊躇する彼ら。
それ
ディジュリドゥですよね?
その一言で
かなり警戒を解いたような彼ら。
どこから来たんですか?
先にいるわたしたちの方が
生意気にも質問をする。
『諏訪からです。』
きゃー‼
諏訪ですかあ。
何しにいらしたんですか?
といったら
カンちゃんの絵に、釘付けになっている。
あの
ちゃっかり奉納の絵に。
なんだ、すごいなあ
どうなってるんだ?
小声でボソボソ…
この絵が
起爆剤になったようで
ディジュリドゥを持ったひとりが
話し始めた。
『首輪をつけられた龍が
ここに封印されているんです。
それを
解除に来たもんで…』
ゲゲゲ!
なんなの?
この展開は!
ここ、
二合目の御室浅間神社には
こんな伝説があるんです。
【冨士御室浅間神社 本殿】
本宮は富士山北口二合目に鎮座し、富士山中で最古の神社と云われています。
武田三代が深くうやまい、社宝に「武田不動明王座像」「勝山記」があります。
御室浅間の龍
御室浅間の龍は、社殿にほどこされた彫りものの龍です。でも、なだれで社殿が押し流されたあとも生き残ったほどの、たくましい龍でした。
勝山浅間神社の山宮は、富士山二合目にまつられている御室浅間神社です。その昔、この山宮の社殿にほどこされていた彫リものの龍は、たびたび山宮からはい出しては山をくだったようです。そして、山すその村に現れては暴れ回リました。「なんとかしてくれ、困るじゃあないか」村人から苦情を言われるたぴ、宮司さんは大弱りでした。
富士山に大きな雪代(ゆきしろ)が起こったことがあります。雪代というのは、富士山の雪が急激な気温の上昇でいっ時のうちに溶け、押し流れてくる恐ろしい現象です。雪代の流れる道筋にあったために、集団移住した村もあるほどです。
この雪代で、御室浅間の社殿はあとかたもなく吹き飛んでしまいました。しかし、雪代のおさまった富士を見上げると、なんと龍はしっかりと山肌にしがみつき、たくましく生き残っていました。
宮司さんはほっとしたり、驚いたりで「これからまた方々暴れだして、村人を困らせることになったらどうしよう」と考え込んでしまいました。そこで龍を河ロ測のほとリの里宮へ連れていき、宝蔵のなかに閉じ込めてしまいました。
乱暴者の龍てすが、その後は村を救いました。
この龍が現われるとかならず雨が降ることもあって、湖畔の村が干ばつにみまわれると神司さんにお願いし、龍を河ロ湖へ放ち、お祈リをし、雨乞いをしました。でも、こうしたときも、龍には綱をつけたそうです。湖を勝手に泳ぎまわって、また大暴れされたら困るからです。
困ったリ、助かったりの、龍です。日本一の富士山で育った、不思議な力をもった龍です。
この
龍さんが
縄(首輪)をつけられているのだろうか?
このお二人は
ちひろさんと
とらさんという
諏訪を拠点として
日本中を龍の解放に回っている
グループの中心的なお二人だった。
ちひろさんの
ディジュリドゥの音が
山麓に響く。
クリスタルチューナーを鳴らします。
すると…
お決まりの
日輪が!
(続きます)