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Channel: トヨタマヒメ富士日記
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③コンクリートの森

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Oh!  my Countryの

最後の記事になります。

新宿はわたしの一番目の故郷。
ゼロ歳から18歳まで
この街で過ごしました。

そこから
代々木
原宿
青山
代官山
目黒
自由が丘
中目黒

新宿に生まれたことが嫌で
新宿にソッポを向いて暮らして来ました。

そして13年前には東京さえ捨てて
富士山北麓に移住。

でもでも

わたしの本籍地は未だに新宿区。

そしてお寺も新宿区。

事有るごとに
新宿に行く羽目になるのです。

富士山に移住してからは
あんなに嫌いだった新宿という街が
結局、『ふるさと』はここなんだなあ、と
違う感情を抱くようになったのは
自分でも驚きです。


やっぱり
『ふるさと』ってすごい。

だからといっても
郷愁の中にそこは、存在するのみで

本当に自分自身の魂が震える場所は
また、別なのだと思います。

そこは
富士山に対峙する場所や
大地のダイナミズムが創り出した
天然の地形や森や湖などなど。

そんなところで
わたしの魂が歌い出すのを
日々感じるのです。



最後のお話し。


『コンクリートの森』



2時間かけてここに来たのだけど
法要は1時間で終わり

そのあとは
母や姉といった家族たちと
帰宅するバスに乗るまでの楽しいおしゃべりの時間となる。

17:10のバスまでは
小一時間ほどあったので
新宿西口のバスターミナルにほど近いところで、
お茶でもしようということになった。

目の前にO田急デパートがあったので
そこの上では?と姉が提案する。

彼は、KOデパートで食材が買いたいとのことで
別行動することになる。


13階に行くエレベーターの中で
姉が見上げながら

『マンハッタン ヒルズっていうのね、』
そのエリアの名前を口にすると
周りの
エレベーターに乗り合わせた乗客の数人が
姉に注目した。

姉は、恐らくその名を揶揄する言葉を言おうとしたのであるが
予想もしない言葉に変えた。

『キレイな名前ね』

わたしは13階にエレベーターが着くまで
笑いを噛み殺していた。

(マンハッタン ヒルズだって!
こりゃあ、おかしな名だ!)

日本人の時折見え隠れする
欧米崇拝的なもの。

あるいは
◯◯銀座、とか付けてしまうネーミングの安易さ。

それを姉妹で思い切り笑おうとしたに違いないのだ。


母親と姉妹の一時間に渡る会話は
結構コアな内容になったけど
それはまた機会があればお話ししたい。



そう言えば
マンハッタンの名は
ニューヨークシティのあるマンハッタン島という島の名前だったという記憶があるが
それは、先住民族の由来だったのでは無いだろうか。

朧げな記憶があったので調べてみたら
やはり、そうであった。

『マンハッタンの名の由来は、ネイティヴアメリカンのレナぺ族の言葉で
mannahatta(マンナハタ)』

なんと
『丘の多い土地』
という記述に行き当たった。

それでは
『マンハッタン ヒルズ』は
とんでもないネーミングではないのかも知れない。




店を出ようとした時
外の風景と光に気がついた。

『待って!
マンハッタン、撮るから』

窓の外の
新宿マンハッタン。

{F59F4CE9-9D51-47C3-B4AD-258DDD08FAF3:01}

姉は笑った。

マンハッタンねえ…



右下に写る小さな青いスバルビル。
わたしが中学生の時には
この西口のロータリーから見上げると
これが一番高かったのだ。

ニョキニョキとその後
この街は伸びて行き

このような
コンクリートとガラスの森が出来上がった。

ここでは
ビルの谷間に夕陽は沈み
ビルの間から朝日は昇る。



この森を出て

山々のあわいに夕陽がしずみ
山々のあわいより太陽が昇る地に来た。


わたしは本当の森
たくさんの木が生えて
鳥が鳴き
花は咲き
実がなり
虫が翔び
風が吹き
季節が巡る
こんな土地に辿り着いた。

{B35CA112-13DD-4528-B113-0BE52BD9402B:01}

すっくりと空を示すその枝先は
天につながり
どこまでも伸びるその根は
大地をしっかりと包む。

わたしもまた
大先輩のここの木たちに習い

天と地をつなぐものになろう。

Oh! my Countryは
わたしには
ふたつ、あるのだ。






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