夢枕 獏という方の小説は読んだことが無い。
彼の小説「陰陽師」を原作として
描かれたのが岡野玲子氏の漫画だという。
その後おそらく漫画のほうのビジュアルイメージで
映画「陰陽師」が製作されたのだろうか?
漫画の「陰陽師」の安倍晴明は
映画で忠実に野村萬斎によって再現されているように思える。
わたしがあんまり漫画が好きではない理由は
少女マンガ的ハンサムな男性像が好みでないからかもしれない。
リアリズムを追求していくと
時の天皇やそのまわりの知識階級は
毎日日記をつけていたということだ。
その日記や今昔物語などに初めて「安倍晴明」の名が出てくるのは
本人が還暦まじかの時だというので
すでに中年から老年の域だったことになる。
実際に名をなしたのは
「那智山の天狗を封じた」という59歳のときらしい。
そこからさらに天皇の日記などに頻繁に名前が出てくるのは
晴明66歳のときから85歳で没するまでというので
著名になったときにはすでに老人だったことになる。
そんなことを書くと
伝奇ロマン好きのかたにはがっかりされるかもしれないけど
わたしはこちらの晴明のほうが親しみを感じてしまう。
彼は式神を使うという。
この図で晴明の後ろに控えている二人の鬼のようなものが
「式神」で
正面にいるのが「つくも神」
百鬼夜行でおなじみの妖怪たちだ。
闇が闇として存在し
人も鬼も妖も
ひとつ屋根の下に共存していた時代。
それはいつまで続いたのだろう。