その丘からは
ヒマラヤ連峰
あの世界の尾根
アンナプルナが見渡せた。
わたしはそこに対峙するように座り
尾てい骨を大地につけた。
そしてその土地のエネルギーが螺旋を描いて
わたしのクラウンチャクラに抜けていくことを思い描いた。
その次の瞬間・・・
わたしは空高く上昇していった!
というよりも
そのように感じただけかも知れない。
大きな大きなボルテックスが寺院の上に巻き起こり
わたしがそれに巻き込まれ行くような感覚だった。
その後、シュン!とすぐにわたしは地上に戻ってきた。
何事が起こったのか?
Sには馬鹿にされそうで、その話しはしなかった。
「うわ! すごい!
ここってすごいね。」
Sはただニコニコしていた。
この話しには、そのあとの後日談があって
「地球の歩き方 ネパール」に
あの丘のことが乗っていた。
その本は実際に行った旅行者の投稿がたくさん掲載されていて
ほとんどの情報はすでに古くてあまり役には立たないのだけど
こんな記事が載っていたのだ。
「パシュパティナートでぶっ飛んだ!」
それによるとその男性は、サドゥからハッシシを買い
それをあの同じ場所で吸ってみたら
自分自身が高く寺院の上空に上がっていったビジョンを見たのだという!
「うわ!」
その記事を読んでわたしは本当に驚いた。
わたしは断じて、ハッシシなどやっていない。
しかしやったこの男性と同じ体験をしたのだ。
これはいったい、どういうことなのだろう?
やっぱりあそこの土地
それが特別な場所だったのだろうか。
それともタイミングが何かあったのだろうか?
カトマンドゥからインド国境にあるチトワン国立公園というところに行き
象に乗ってインドサイなどの野生動物ウォッチングを楽しんで
その夜激しいスコールと天地創造のようなダイナミックな空を眺めて
エキサイティングなネパールの旅を終えて
最後に機上の人となる寸前に
再びパシュパティナートへ向った。
そこはわたしがこの国で一番好きな場所となった。
そしてその年は二度
ネパールに行くことになった。
そのGW、会社を辞める前と
年末、会社を辞めた後である。
前者はSと
後者はともに会社を辞めてインド・ネパールの旅をユウヤと行った。
ユウヤと行ったパシュパティナートでは
わたしには何もおきなかった。
どころか、あの深い瞑想状態のような感覚は
二度と戻ってこなかった。
わたしの神秘体験というものは
後にも先にも
あれ、一度っきりだったのである。