「ねえ龍ってどう思う?」
わたしの問いかけに姉はきょとんとしたようだった。
「龍って、
だってわたし辰だもの」
だから
干支の話しじゃなくて・・・なんていうのかな
だから
想像の動物としてっていうか・・・
「だからわたし、龍だから。」
もうこれは会話的に変だ。
いくら姉妹の会話であっても・・・
それがさあ
わたしときどき龍になるのよ。
やはり変だよね、この会話って。
「そうそう、わたしも」となればつながっていくのかもしれないけど
わたしはときどき龍になんかならない。
もちろん大好きな馬にもならないし
狼にもならないよ。
それが普通の人間だ。
姉がいうには
姉は以前代官山にお店を経営していた。
それは今は亡き姉のパートナー(つまり二人の子の父親)とともに開いた
輸入衣料の店だった。
そこのすぐそばに
昔代官山同潤会アパートといっていたオリンピックの頃にできた
古いが雰囲気のある集合住宅があったのだが
都市開発で「代官山アドレス」というショッピングセンターに生まれ変わってしまった。
その「アドレス」に行く手前にトンネルがあってね、
と姉はいう。
そこがパワースポットなのよ。
すごいのよ。
そこを通るたびに
わたしは龍になって通るのよ。
そういって姉は両手を前に伸ばして
ウネウネさせた。
上手いねえ!
その動作!
まるで本物の龍のようだ。
(といっても知らないのだけど)
わたしはつまらないところで感嘆した。
へえ
ところで
龍って色々な色があるみたいだけど
お姉ちゃんは何色なの?
そうしたら
まったく間髪いれずに
「白!」
度肝を抜かれた。
性格がキツイので
まっかっかな紅い龍だと思ったよ。
それってそれって
富士山じゃないの・・・
富士山は白龍さんじゃないの?
そうだよ、
だってわたしは富士山に縁があるんだもの。
だからこうやって来るんじゃないの。
ねえねえお姉さま
富士山にご縁があるのは妹のこのわたくしなんじゃないの?
わたしがいるからこうして
お姉さまも来るんじゃなくて?
それがまったく
姉のわたしが富士山に縁があるので
妹のあなたが住んでいるのよ、といわんばかりの勢い。
昔から、この調子だった。
そんなこんなで夜は更けていくのでありました。
あと一回
続きます。