Quantcast
Channel: トヨタマヒメ富士日記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5679

イリス 0530

$
0
0

少女から

大人の女に向かって
流れていった時間の嫋やかさを

久しぶりに思い出す。

{45151426-5A1C-4724-8C48-31C460C2EC1B:01}

{E5BA80D8-EA4E-48D9-8503-CD20A3BC3A94:01}

{C3DD40D5-0B65-46EF-9146-9A6243EDEEC5:01}

村中に
アヤメ、菖蒲、カキツバタ
などなどが
咲き乱れているものだから。

13歳のときに読んだ
ヘルマン ヘッセの
『イリス』を連日、思い出していた。

タイトルの『イリス』は
現在は、『アヤメ』と訳されているようだけど

ストーリーは裏覚えなのに
最後のシーンだけ。

主人公がいつものように歩いていると
花の中に入って行ってしまうという
ラストシーンは幻想的だ。

久しぶりに
『イリス』を検索などしてみると
ヘルマンヘッセの幼少期の
母が育てていた
ジャーマン アイリスの花の記憶が
彼にこの物語を書かせたみたい。


-幼年時代の春、アンゼルムは緑の庭を走っていた。母の作っている花の中の一つはアヤメという名で、彼は特に好きだった。彼はほおをその高い淡緑色の葉にあてたり、指をその尖った先端に押しつけて、さすってみたり、大きな素晴らしい花の香をかいで吸い込みながら、長いあいだ中をのぞいたりした。その中には、薄く青みがかった花托から、黄いろい指が長い列をなして伸びており、その間をひと筋の明るい道が走って、萼の中へ、花のはるかなひょうびょうとした秘密の中へと下っていた。 -
(『アヤメ』 H.ヘッセ著、高橋健二訳の冒頭より引用)



やがて、アンゼルムは成人となり
イリスという名の女性と知り合い
恋に落ちる。

イリスは、日本でいえば
あやめさんという女性といったところか。



『イリスさん』
と彼は彼女に言った。

『愛しいイリスさん、この世がもっと別な仕組みになっているといいんですが。花と思想と音楽とを恵まれた、あなたの美しいなごやかな世界しかないのでしたら、ぼくは、終生あなたのそばにおり、あなたの物語を聞き、あなたの思いのうちに共に生きることよりほか、何も願おうとしないでしょう。あなたの名前がすでにぼくには快いのです。イリスは素晴らしい名前です。その名がぼくに何を思い起こさせるのか、見当がつきませんが』

『ご存知じゃありませんか』
と彼女は言った。

『青や黄のアヤメがイリスっていう名であることを』 


イリスは、アヤメの花の精であったのだろうな。

この村に、アヤメの花が咲き乱れるこの時期に


{F6BA31C1-D203-4723-9097-2EA34D609B5F:01}


ももが、初潮を迎えた。

{2BEA56F1-069F-43AD-A848-B479CBEBC1C6:01}

{B3718291-F45B-4218-B49D-1872A9E85421:01}

相変わらず、無邪気に見えるけど
時々、精神の不安定さを感じてしまう。

ももは、推定生後七ヶ月。

人間でいえば
13歳といったところか。


ヒトとイヌとは違うけど

多感だったあの日の自分を
何故だか、思い出してしまう。






Viewing all articles
Browse latest Browse all 5679

Trending Articles