今日は富士山の日
223なので
『富士山の神さま』について
書いていきたいと思います。
富士山の神さま、といえば…
そりゃあもう、
木花咲耶姫(コノハナノサクヤビメ)でしょ?
ということになっているのだけど
本当にそうでしょうか?
明治八年の神仏分離令以前は
山梨側、つまり北口本宮の吉田口を中心とした『富士講』にしても
静岡側の村山浅間神社を中心とした富士修験でも
富士山の本地仏は『大日如来』だったようです。
ところがところが
調べて行くと
古い記録ほど、富士山の神さまは女神さまだったという記録が出てくるようですね。
文字にして遺してある、いわゆる歴史時代の最古の記録としては
9世紀の『富士山記』都良香という人が書いた
『仰ぎて山の峯を観るに、白衣の美女二人あり。山の巓の上に双び舞ふ。』と古老が伝えているというもの。
そしてそのあとに
『山に神あり、浅間大神(あさまのおおかみ)と名づく』とあります。
白衣の美女は、神仙思想に元ずくものらしく、噴煙がそのように見えた説があり。
しかしこの時点では
『あさまのおおかみ』は
男神なのか、女神なのかはっきりしていません。
そして、はっきりしないまま
平安時代の度重なる噴火により
あさまの神➡あさまの大神➡
そして修験道の影響で
浅間はセンゲンと呼び変えられ
ついに『浅間大菩薩』(センゲンだいぼさつ)と大出世したようです。
この時点でも男神なのか女神なのかははっきりしません。
もっとも仏さまには男性も女性もないそうなのでどちらでも良いのですが。
近世になってからのものですが
大日如来と浅間大菩薩の御影(神仏や行者の尊像を描いた図)が発見されています。
左側、浅間神大菩薩
いずれも別当浄蓮院発行のもの、
浅間大菩薩が女神の姿で描かれていることで注目されているようです。
こちらは普通に考えてみれば
木花咲耶姫命。
ところが
そうではなくて
『赫夜姫』(かぐや姫)なんだそう‼
びっくり!
その根拠は
コノハナサクヤビメは手に
榊と玉を持っているのだけど
(榊は自らが木の精であることを現すらしい)
ところがこの御影の女神は
両手で玉を持っている。
これが『かぐや姫)なんだそう。
確かにこの右端の中央の御影だけ
榊を持っていませんね。
平安時代に竹取物語が世に出てから
どのようにして
かぐや姫は富士山の女神となったんでしょう。
それにはやはり
神仙思想が深く関わっているようです。
やはり優しい女神さまのようでした。