十年後の話である。
十、十と
最近きているので
この未来はかっきり十年後と今日決めた。
ここからは
わたしの未来のビジョンの話。
『不思議なことであるが
全ての人に、同じことが起きたのだ。
わたしと同じ
四つ足肉アレルギーだ。
よって
牛丼やも、マグドナルドも
商売は上がったりだ。
もっとも、貨幣価値経済が数年前に破綻したので
どちらにしても
新しい経済システムが今、模索中。
もっとも有力視されているのが
昔ながらの、物々交換システムだけど
もちろん、完全に縄文時代に戻れるわけではない。
電気自動車は町を走り回るし
テクノロジーはますます発展して行く。
ただひとつ、異なるのは
ものの価値を決めるのが
波動システムの導入によって
全てが通信簿のように
波動の高い低いで答えが出てしまうことだ。
お米を作る農家の方たちは
波動の高いお米を作ることに切磋琢磨する。
それには、良いお水を与え
毎日、稲に話しかけたり
稲の為に演奏会を開いたり
それはそれで大変なのだ。
今のわたしの仕事は
『野生動物保護管理官』だ。
富士山はさらに高くなり
さらに美しくなった。
それが何を意味するかはわからない。
取り敢えず
現在の仕事は
富士山の北麓に住む動物たちの交渉係。
ニホンオオカミが富士山に復活するのに
あと、また十年待たねばならない。
その間の十年
鹿やその他の動物たちと
どのように共生して行くのか?
たまたま、なのだが
北麓地区で、彼らと話が出来るものが
六名いた。
そのひとりが私だったので
わたしがその交渉係のひとりに選ばれた。
わたしたち、人は
彼ら、鹿たちのための畑を作っている。
どんなのが好きなの?
何が食べたいの?
わたしたち、人の畑のものを
鹿が食べないように
彼らの分も、わたしたちが作るのだ。
ところが最近は
若くて食欲旺盛な鹿たちが
人の畑のものを食べてしまう。
人からもさまさまな苦情が寄せられて
わたしたちはてんてこ舞いだ。
今日も鹿のボスに
話に行かねばならない。
話はこうだ。
あなたたちは賢い
そして美しい。
それなのに、何故
オオカミたちがやっている
出産制限が出来ないのだろうか。
このままだと倍々ゲームで
あなたたちの仲間は増えすぎて
やがて淘汰されてしまうよ。
この前もね
この森の長老のカケスが言うことには、
云々かんぬん。』
この世界も中々悩みが多くて
大変なのだけど
今の悩みとは全く違う。
家に帰れば
彼は彼で
今日、俺のパンは
金目鯛二十匹と交換になったが
やはり新しい冷凍庫が欲しいがどうだろうか、と相談してくる。
最近の彼の焼くパンは
波動ランキングの上位を常に占めているのだ。
わたしは
そうだねえ、
金目鯛はステキだけど
二十匹は多いねえ、といいながら
あの、カケスの奴ってば!
あのタイミングで、あんなことを言わなくっても.と
うわのそらで
他のことを考えてしまうのだ。』
そんな
未来の話。
鹿と全然関係無いけど
お庭の秋桜で
この他愛もない夢のお話を締めくくります。
とりとめもなくて
ごめんなさい。