4億2千万年の昔、むかし
初めて陸に上がった海藻があった。
それがコケとなる。
あらゆる陸上植物の共通の祖先。
全てものは海から産まれた。
わたしたちの祖先もまた、
その海を泳ぐ魚であった。
樹海にいると心が落ち着くのは
海藻に抱かれて眠るお魚の気分だからかな?
苔寺に代表される苔を愛でる庭園や
つり忍などを軒に吊るし
風流を楽しんだり
日本人にとって
苔は小さな森であり
森羅万象を内包する宇宙でもある。
二千万年かかって
コケの中から進化して
『維管束』を持ったものが、シダ植物だ。
維管束を持つことにより、根から水や養分を吸収し、葉の先の隅々までそれを行き渡らせることが出来るようになった。
維管束を持つことにより、根から水や養分を吸収し、葉の先の隅々までそれを行き渡らせることが出来るようになった。
そして、直立する。
現在の、草と木の全ては
このシダ植物から
苔フェチを自他ともに認めるわたしが
他のガイドの紹介で
NHKの番組のプレ取材を受けることになった。
で、昨日は図書館へ行って
苔のことを下調べと確認に行った。
何冊か借りたコケの本は
わたしを別の方向へ連れて行った。
何故なのか
サイエンスの本なのに
皆、君が代の話を載せている。
国歌に登場する
『苔むす』は
繁栄と永遠の象徴だというのだ。
一方、アメリカ人は
あまり苔を好まないらしい。
その象徴とも言えることわざが
『転がる石に苔は生えず』
それがフロンティアスピリッツである、と。
国民性の大きな違い。
ある本には
それもサイエンス系の書籍であるのに
コノハナサクヤヒメと
イワナガヒメの姉妹の神話を引用していた
。
イワナガヒメを返してしまった天孫族は
それから、寿命が短くなった。
イワナガヒメの別名は
『苔虫』
日本に1800種
世界に1万種あると言われている苔の種類を
わたしは幾つ、その名前が言えるのだろう。
人の名付けた名前を片っ端から伝えるよりも
太古の海に想いを馳せて
苔たちの発散する酸素を
胸いっぱい吸い込んでみよう。
わたしたちは、今
同じ空気を吸っている。
わたしは酸素を
苔は二酸化炭素を
それぞれに
吐いて
吸って。
わたしたちはひとつ。
一体化してしまうね。
あなたたちの吐く酸素を吸ったら
肺まできっと
瑞々しい緑いろに
染まってしまうよ。
そこでまた
あの呪文を唱えよう。
『産めよ増やせよ
地に充ちよ』
この
兄弟、姉妹たちよ。