よく、考えてみたら
鹿は森に住まうものの象徴的存在だ。
この国の森林生態系では
頂点捕食者であるオオカミが
およそ100年前に絶滅をしてから
(もっとも人間が間接的に絶滅させたのであるが)
ニホンジカやイノシシの天下になっており
農作物を荒らす獣、
いわば害獣扱いをされるようになった。
我が町が
増えすぎたシカやイノシシを
ジビエと称して観光客誘致の素材として売り出そうとしたのが
六年くらい前であったか。
そのこと自体は悪いことではないが、
鹿肉解体施設を、樹海の入口に作ろうとしたので
そして、それに関して、猟友会に多額の資金が流れ、それが不自然であることから
わたしとYは、『鹿肉解体施設 反対運動』を立ち上げた。
町長がそのタイミングで変わったにも関わらず、すでに市町村合併を進めていた前町長の置き土産となっていた、その解体施設は、結局、予算案を通り、建設の運びとなった。
そのあたりからかな。
わたしは、具体的に声をあげることを止めた。
この土地の
どうしようもない
封建的な仕組み。
それには今までのやり方では歯が立たない事実と向き合ったからかも知れない。
鹿肉解体施設は、
当初予定されていた、本栖湖周辺では下水道設備がないという理由で
精進湖の、活性化センターに隣接した土地に建てられた。
それから六年
未だに開いているのを年に何回かした見たことがないような
『不活性センター』と揶揄されるような施設となっている。
案の定
山梨県が目指していた
『鹿の適性頭数、2万頭から8千頭へ』
までは
猟友会に予算をつけるだけでは
とても、とても、思うようにはいっていないのだ。
それは
今、現在の
人と鹿の確執の話である。
富士山北麓の猟友会関係者が
まことしやかに語る話は
恩師林では鹿一頭 2万円
山梨県では1万円
富士河口湖町では8千円
それだけの違いがあるのだという。
殺した鹿は
その場で写真を撮ればよいそうで
駆除しただけで、お金が貰えるので
1ヶ月にみたないで、60万稼いだ人もこの夏いたそうだ。
では
鹿の未来はどうなるのだろう。
適性頭数、
そのあたりで殺戮は止まるのだろうか?
わたしはわたしの未来に
彼らやその他の生き物たちの
幸福な未来の姿を
すでに描いていた。
続く。