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富士山の放射能ときのこ

9月8日

五合目に向かう自然解説員の車の中では

2020年のオリンピックが

東京に決定したことでもちきり。


五合目の管理事務所でも

詰めている県の職員と、県警の山岳ポリスが

オリンピックの経済効果の話題で盛り上がっている。


富士山が世界文化遺産になったときもそうだったが

それを喜ばないのは、「よっぽどの天邪鬼だ」と言われた。


あの時と同じような

おかしな虚脱感で

何もいう気はしない。

何もかもはすでに決まっていたような・・・

そう、あの時、富士山世界遺産!と同じ感覚・・・


スポーツよりも大切なのものは「平和」

経済よりも大切なものは「いのち」


わたしたち日本人はそれを

3・11で、学んだのではなかったのかしら。


富士山の北東では

いまだに高い放射能値が観測されることがある。


(8月5日の「富士山が放射能の楯になる」の記事)

http://ameblo.jp/mizunotunagari3776/entry-11586470713.html


これは、風評被害などではない。

いま、ここ、

富士山で起きていることなのだ。




すっかり秋模様となった富士山登山道
しかし
今年は異変が起きている。

この時期は富士山にはたくさんのきのこが出てくるのに
今年はまったくといっていいほど見当たらない。



木漏れ日の中の
お中道
こけモモの小さな森
こんなところがきのこは大好きなのに



コケモモが色づくときのこのシーズンだと
キノコ採り名人が教えてくれたのに



もうすごく色づいているよ。
でもきのこはどこにもない。



すごくちっちゃいきのこを
ふたつ見つけたよ。

もちろん
原因は複数あるだろう。

夏が異常に暑かったこと
雨が異常に少なかったこと
今年は何もかもが異常だったから・・・

でもね
きのこは、土中のセシウムを吸収してくれるんだ。

昨年は富士山のきのこから
基準値を大量に上回るセシウムが検出されたので
きのこの採集禁止の看板をいたるところで見つけた。

(「昨年10月の「富士山のきのこから放射性セシウムが」の記事)



そのときにわたしたちは密かにささやきあった。
ああ
きのこが富士山を救ってくれるね。


きのこ、正確に言えば菌類は
土壌の化学性物質を集めてしまう性質を持っている。
だから
きのこそのものはどうなるかはわからないが
地表面を綺麗にしてくれるかもしれないのだ。

間接的には
樹木や草や
そしてそれを食べる虫や動物や野鳥たちを
縦横無尽に菌糸を張り巡らしている
きのこが守ってくれるような気がした。



カラマツのぼっくりを誰かが食べて
芯だけにした。
ミニミニのエビフライだ。
誰が食べたのかしら?

この標高だと
モモンガ?ヤマネ?



ようやく熟し始めて茶色くなってきた
カラマツのぼっくり。
薔薇の花みたいで、綺麗だ。

このように生態系は
いのちのつながりの織り成す美しい織物


富士山の世界文化遺産も
東京オリンピックも

ここでは関係のない世界

ひっそりと続く命の営み。


もちろんね
富士山が噴火をすれば
これらのいのちも一瞬で終わる。

そうして
最初からやり直す。


それはいつごろ来るのだろう。

富士山だけが知っているのかもしれないね。

今日も彼女はおおらかに
たくさんのいのちを抱いているよ。









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