もう、帰るよ!
あちこち連れ回した
友人の機嫌がそろそろ
思わしくなくなってきた。
それもそうだね。
そろそろ
富士山に帰らなくては。
でもね
あとひとつだけ、寄って欲しいところがあるよ。
天竜川のこと、
忘れてなあい?
諏訪湖の、唯一の流れ口であった
天竜川。
10月の満月のころ
この友人と、
天竜川のはじまり
『釜口水門』に、訪れたのだった。
その、天竜川の伝説の起こりとなった
『龍宮山岩水寺』に
今回は
ぜひとも、行ってみたい‼
浜名湖へ行くと決まってから
最初から、そこへ行きたいと言ってたでしょ、お願い〜!
カーナビを
『岩水寺』にセットしちゃうよ!
かなり戻り
そこからは、帰る方向に、まっすぐだ。
友人は、渋々
そちらに車を走らせてくれた。
では、
いざ
龍宮山岩水寺へ‼
すると
とある信号に
看板がある。
『豊玉』と、わたしには見えて
ええええー!
とよたま???
信号の看板下に
ローマ字が書いてある。
『ARATAMA』
鹿って書いてあるよ!
鹿に玉‼
でも、なんでアラタマなの?
調べてみて!
と、友人。
うん!
ガッテンだ‼
スマホ検索は、ほんとうに便利だ。
その地区を走りながら
なあに?なあに?
と、検索。
鹿に玉ではない。
鹿の上が、クみたいになっている。
初めて見る漢字だ。
これで、『アラ』と読むんだ。
調べてみたら…
『麁玉村(あらたまむら)は、かつて静岡県麁玉郡(後に引佐郡)に存在した村。』
ふうん、引佐(いなさ)郡ねえ、
で?
すると
とんでもない記述に巡りついた。
ねえねえ!
天竜川
昔は、
『麁玉河』
って呼んでたみたい!
あらたまがわ?
麁玉小学校、というのがあり
そこのページに、その歴史が記されていた。
静岡県浜松市立麁玉小学校
★「麁」は
の俗字で,
「粗い」「遠い」の意味があります。
★「麁玉」とは,『まだ磨かれていない玉』のことです。
【玉 磨かざれば 光なし】の碑
そうなの?
鹿
三つ???
うーん…
さらには
『718年(和銅8年)5月25日の記録です。この文章の意味は,「遠江で地震があり,山が崩れたので麁玉河がふさがれてしまった。」という意味だそうです。この文の続きには,その水によって被害があったところが記録されています。この山崩れは,おおよそ浜北市内野から浜松市半田のあたりと推定されています。さて,この「麁玉河」とは現在の天竜川の古い名前です。同じ続日本紀の761年には,「荒玉河」と記されているので,当時は「あらたま」はいろいろな書き方をしたようです。』
そうなんだ!
天竜川は
アラタマカワ
だったんだ!
わたしは、
阿曇野と諏訪の旅を記した
『Mを探して』
のシリーズで
書こうと思っていたことがあった。
たま
くま
ちくま
などなど
川の名に、なぜ
“MA”がつくのだろう?
ということだった。
天竜川が
アラタマ
だなんて!
『まだ、磨かれていない玉』
水は
玉である。
これから向かう
『龍宮山 岩水寺』には
玉袖姫という天竜川の龍神が祀られている。
この旅のお話の
ラストへと続きます。