車は西伊豆の海岸線に沿って
南下する。
照葉樹林帯の崖を
クネクネと走り続ける。
あわしまマリンで
ソフトクリームを食べたかったのだけど
残念ながらお店が閉まっていて
わたしはソフトクリームを食べられる機会だけを思っていた。
左手の海岸が開けて
友人が叫ぶ。
『大瀬崎!』
え〜?
淡島へ行き
山頂まで登り
ミッションが終わったと思っているわたしは
もうあまり興味が無いのだけど
写真だけは撮りたいな、と思った。
ねえねえ、
どこか、停めるところはないの?
そんなとこ、ないよ。
と、友人が言ったら
あった。
展望台のようなところ。
とりあえず
そこに車を寄せる。
そこからは
くだんの
『大瀬崎』とやらが
見渡せるようだ。
あのウナギみたい細長いのが
大瀬崎?
どうやってあんな形になったの?
伊豆の最西端…。
ここからは、富士山が臨めるポイントだったらしい。
でも、この日は雲の中。
ねえ、
樹齢千年のビャクシンってのがあるよ!
それに
伊豆七不思議の『神池』だって‼
ねえねえ
行ってみない?
『大瀬神社』というのが
一番気になってたんだけど
わたしはそれを言わなかった。
昨晩、浜松に行くことになったとき
どこか面白そうなところに寄ろう、といったら
『変な神社なんかは嫌だよ』と
釘をさされてしまっていたのだ。
まったく
友人からみたら
どんな神社も『変な神社』にカテゴライズされてしまう。
『樹齢千年のビャクシン』
『伊豆七不思議の神池』
このふたつが、友人の心をつかんだのか?
それとも、また言い出した、仕方が無いなあ、と
付き合ってくれることになったのか。
とにもかくにも
大瀬崎に向かって
わたしたちは行くことになった。
今思うに
わたしは 操り人形のように
ここに呼び寄せられていたのだ。
なんのために???
途中までしか車は入れずに
マリンスポーツのメッカだというこのエリアを
ひたすら歩く。
友人はどんどん先に行ってしまう、
わたしらの犬たち、
QとP
すでに、大瀬神社の鳥居が見える。
友人は、
樹齢千年のビャクシンを目指して
どんどん先に行ってしまう。
二頭のわんこを連れて。
わたしは、こっそりと
神社によりたい。
大瀬神社じゃないの?
南国チックな植物たち。
ここは奇妙だ。
もう一度
由来を読んでみた。
『当神社は、白鳳十三年 六八四年、
大地震が起き、土佐国で多くの土地が海中に没した反面 突然 三百余丈も盛り上がり 、島が誕生したという。』
土佐国の土地を引いて
島を作った
引手力命???
大地震が起きて
土佐国では土地が海中に沈み
伊豆では隆起して
島が出来た?
白鳳って
いつなんだ?
白鳳の時代に
地震と津波があったの?
それが…
あった‼