スバルラインの終点に差し掛かると
右側に
突然、
富士山の山頂が見えた。
『わあ!富士山だ‼』
そう叫んだわたしに
仲間の六名は、失笑する。
『まるで、生まれて初めて富士山を見たみたいだね』
それはかなり馬鹿にした言い方なのだけど
わたしは、よくそれを言われる。
だって
ほんとうに
それは美しく
特異な眺めなのだから…
24時間
360度
常に異なる眺め
いやいや
標高2300mの富士山はまた、特別だ。
いつもわたしは声をあげてしまう。
五合目からの眺め。
おやまは低く見える。
丸みを帯び
山頂に手が届きそうだ。
御中道。
古来は、ここから上は天上界
ここから下は地上界。
天と地の境…
すでに冬の様相だった。
ダケカンバの白き森
わたしはまたしても叫ぶ
(心の中でひっそりと。
わあ!富士山だ‼)
いやいや、
おそらく最後の
ここからの眺め。
今月末には、このスバルラインは
封鎖されてしまうだろう。
来年の春まで。
ツアーは無事終了して
山麓に戻れば
かの山を
名残惜しめに
眺めていました。
1117の終わり…