『石廊崎・池の原ジオサイトでは、海岸の崖に見られる美しい海底火山噴出物の作る地層や火山の根だけでなく、南崎火山と呼ばれる陸上火山がつくった地形を楽しむことができます。
『南崎火山の地形とそこからの景観』
石廊崎周辺の海岸線の多くは、海底火山から噴出した火山灰や溶岩からできているため、長年の波の浸食によって険しい地形になっています。ところが、「池の原」と呼ばれる小さな高原にはなだらかな丘が広がり、ユウスゲが自生する「ユウスゲ公園」がある。このなだらかな丘は約40万年前に噴火した南崎火山の溶岩が険しい谷を埋め立てて作り出したものです。石廊崎からの遊覧船に乗って、海からこの丘を観察すると、白い岩石からなる海底火山の噴出物のうえに、南崎火山から噴出した灰色の溶岩流や赤茶色のスコリアがのっかっていることがわかります。
石廊崎に一面にひろがるごつごつした岩は、海底に噴出した溶岩流です。
溶岩が水中に噴出すると、水によって急激に冷やされ、ばりばりに砕けた岩片の集合になります。
熱いお湯を入れておいたコップを、冷水に入れると割れてしまう現象に似ています。
海底火山の大規模な噴火で大量の溶岩が海底に流れ広がった様子を想像してみてください。
石廊崎の崖には蜂の巣のようにたくさんの窪みがあり、石廊神社はこの窪みを利用して作られています。
これらの窪みは「タフォニ」と呼ばれ、水に溶けていた塩が、水分の蒸発にともなって結晶になり、その結晶の成長によって岩石が壊されてできると考えられています。
石廊崎の沖は古くから難所でした。昔、江戸へ向かう商船が沖合で大波にあい、石廊権現に「帆柱を捧げるので波をおさめてください」と頼み、無事に江戸に到着できたという言い伝えがあります。
この帆柱は断崖に建つ石室神社の社殿に、今も使われています。石廊崎港からは遊覧船も出ています。
伊豆半島最南端の石廊崎からは、海底火山の作り出した荒々しく雄大な景色を一望できます。
岬の先端には、岩のくぼみにへばりつくようにして石室神社が建てられています。石廊崎の港から遊覧船に乗ってこの景色を楽しむこともできます。
石廊崎から遊覧船に乗って西に向かうと、海底火山の溶岩がつくるごつごつした岩場を通ると、海岸の崖はやがて白や灰色の海底に降りつもった火山灰などの地層に変わってきます。
船がユウスゲ公園の下に来ると、こうした海底火山の噴出物の上に、赤黒い地層が見えてきます。
この赤い色は、地上に噴出した高温の火山噴出物の中の鉄分が酸素と結びついてついた色で、陸上で噴火があったことを示す証拠のひとつです。
この赤い噴出物は、約40万年前、伊豆半島が陸地化してから噴火した「南崎火山」という火山の噴出物なのです。
伊豆半島の海底火山時代から陸上火山時代まで、伊豆半島の歴史を一望できる、そんな景色がここに広がっています。
以上
転載終わり。
次は、わたしが体験した石廊崎のお話です。