1990年午年
12月
インドへ。
6月に会社を辞めた
デザイナーのユーヤとわたしは
11月に会社を立ち上げた。
三軒茶屋に新しいオフィスを借り
小さなパーティを開いて
お披露目をしたものの
豪華客船から艀に乗り換えたようなふたり。
互いに若く、夢ばかりは大きかったが
やがて不安も同じくらい大きく成長して行く。
12月に入り、わたしはある提案をした。
ね、
どこか、とんでもないところへ行かない?
ふたりで。
例えば?
例えば、
インドとか。
最初の社員旅行。
そして最後の
社員旅行となった
インド行き。
12月に入り、バタバタと
インド大使館へ行き、VISAの申請。
AIRインディアでエアーチケットを購入。
ただ、ただ
そうだな
ブッダの大地を感じに?
そして
ふたりで旅立った。
12月の中ほどだったかしら。
当時は
地球の歩き方がバイブルだった。
そこには
インドという国の手強さが満載されていた。
曰く、
空港に降り立ったら
回りは全て詐欺師と泥棒!
さあ
騙されないぞ。
ところが
旅行慣れしているはずのわたしが
嫌になるほど
この国では騙されてしまうのですね。
続く。